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平成30年度治療院の売上・経費データ

ミネルバ税理士法人では、個人事業、法人も含めて350件以上の治療院をみております。今回、平成30年度個人事業の確定申告が終了したのにあわせて、治療院の売上・経費の統計データ(月次平均値)を公表させていただくことにしました。

 

対象は、顧問先の個人事業及び法人。事業所の内、個人事業形態の割合は74%、法人形態26%。顧問先の地域は関東圏がほとんどです。年の途中で開業された場合は、開業月からの月割で平均月額を計算しました。ただし開業半年未満の治療院は除外しました。法人については、直近の決算期2期分を使用。そのため、個人事業との比較時期がずれています。

 

また、個人事業と比較できるようにするため、営業経費に含まれている同族関係者の役員報酬は除外しています。一事業所毎の数値にして法人、個人事業の違いなく数値を比較できるようにしています。具体的には、個人事業でも分院がある場合は、本院と分院別々に分けて一事業所毎の売上・経費の平均値を計算しています。法人についても同様です.

 

売上~自費収入増により回復

 

先ず、売上から見ていきましょう。全件平均値を見ると平成29年までの7年間減少が続いていた月売上は1,302千円、前年比2,183円増加しました。増加した要因は、自費収入の大幅な増加です。昨年比16%増加して売上の35%になりました。

 

保険者の審査が厳しくなっていることから、徐々に自費施術に移行している治療院が多くなってきています。中には保険施術を止めて自費施術100%にシフトした治療院も増えてきました。保険売上は前年比40千円(5.5%)の減少になりました。これに伴い、売上合計に占める保険売上の割合も8年間で70%から53%に落ちました。しかし地域別でみると東京23区の売上は増加しました(後述)。

 

自賠責収入はこれまで増加傾向にありましたが、一転昨年比12%減と大幅減少に転じました。損害保険会社から柔道整復師からの請求は受けないと言われたという顧問先もありました。業界の一部が不正請求を行い、損害保険会社の業界への見方が厳しくなってきているようです。

 

経費も増加、結果営業利益は微減

 

経費については、経費合計が900千円で前年比5,761円増加しました。経費率(経費計÷売上合計)はだいたい69%前後と変動がありませんでした。内訳で見ると、支払家賃、交際費、福利厚生費、研修費が増加。支払家賃は159千円。対売上高比3年間12%前後です。

 

地域別でみると東京都は対売上高比14%、神奈川県13%、千葉県12%、埼玉県10%でした。自院と比較してみてください。自院の比率の方が低いと他院に比べて生産性が高く、高いと生産性は低いことになります。交際費は対売上高比2%台。業界としては患者を接待することはないのでこのような比率になっています。しかし3年連続自費収入が増加していますが、交際費もこれと同じように増加しています。自費収入を増やすため、新たな患者を紹介してもらった顧客や知り合いにお礼をする機会が増えてきたものと思われます。

 

結果として営業利益は、平成30年は前年比3,578円減少しました。営業利益率(営業利益÷売上合計)は31%前後で3年間変動はありませんでした。しかし個人事業だけで見ると平成30年は前年比で売上は10千円減少、経費は3千円減少、結果営業利益は7千円の減少でした。自費収入は増加しましたが、保険売上、自賠責収入がそれ以上に減少し減収になりました。

 

一方法人は、前年比売上は140千円増加、経費は117千円増加により利益は23千円増加でした。自費収入が前年比111千円増加。前年法人は保険売上の減少により売上額を大きく落としましたが、自費収入を増加させリベンジを果たしました。

 

売上、営業利益上位20%の特徴

 

売上上位20%の平均値を見ます。平成30年は自費収入を大幅に増やし売上が増加、経費もこれに伴い増加、なかでも従業員給与が増加し営業利益は横ばいでした。月売上は前年比2,500千円から2,635千円に135千円(5%)増加。経費総額も同額の135千円増加。経費率(経費総額÷売上合計)は73%、営業利益率は27%でした。自費収入を大幅に増やせましたが、人件費等経費も増えて利益への貢献はありませんでした。全件売上高に占める売上上位20%の割合は41%。前年は39%で微増。業界の売上上位2割で業界売上全体の4割を占めている状況は変わりません。

 

次に営業利益上位20%の平均値を見ます。売上増加、経費も増加、結果営業利益は横ばいでした。月売上は前年比2,152千円から2,185千円に33千円の増加。自費収入が前年比大幅に増加しましたが、保険売上、自賠責収入が減少しました。経費は人件費の増加等で経費総額は33千円増加。全件の営業利益合計に占める営業利益上位20%の方々の利益合計は44%。“業界の上位2割で業界全体の4割強の利益をたたき出している”状況は昨年と変わりません。営業利益が年間で1千万円を超えた方がこの中で44%。全体では9%いらっしゃいました。

 

 

東京は“東京23区内で売上増加

 

最後に地域を東京23区内、東京23区外、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他の6つに分けたデータを見てみます。注目の “東京23区内”は、月平均売上が平成29年1,244千円から平成30年1,328千円と前年比84千円(6.8%)の増加でした。保険売上は前年比26千円増加、自費収入は前年比54千円増加、自賠責収入は微増。注目すべきは保険売上が増加したことです。これまで保険売上は毎年逓減傾向でしたがここに来て見直しがされてきたようです。原点に立ち返り、接骨院の患者から見たメリットは保険がきくこと。保険施術をしっかりやり、保険者への請求も問題なく行うことで返戻もなく患者に喜ばれる。そういった考え方の施術者の方が保険売上を伸ばされています。千葉県は自費収入が前年比増加したことにより売上増。

 

東京23区外、神奈川県、埼玉県、その他は、自費収入は増加しましたが保険売上、自賠責収入とも減少し売上減少でした。