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平成29年度治療院の売上・経費データ

 上田公認会計士事務所では、個人事業、法人も含めて350件以上の治療院をお手伝いしています。今回、平成29年度の治療院の売上・経費の統計データ(月次平均値)を公表させていただくことにしました。

対象は、顧問先の個人事業及び法人。事業所の内、個人事業形態の割合は71%、法人形態29%。顧問先の地域は関東圏がほとんどです。年の途中で開業された場合は、開業月からの月割で平均月額を計算しました。ただし開業半年未満の治療院は除外しました。法人については、直近の決算期2期分を使用。そのため、個人事業との比較時期がずれています。

また、個人事業と比較できるようにするため、営業経費に含まれている同族関係者の役員報酬は除外しています。一事業所毎の数値にして法人、個人事業の違いなく数値を比較できるようにしています。具体的には、個人事業でも分院がある場合は、本院と分院別々に分けて一事業所毎の売上・経費の平均値を計算しています。法人についても同様です。

保険売上大幅に落ち込む

まず、売上から見ていきましょう。全件平均値を見ると月売上は平成27年1,390千円、平成28年1,366千円、平成29年1,300千円と遡って見ていくと7年連続で減少しました。中でも保険売上は前年比87千円(10.6%)の大幅減になりました。これに伴い、売上合計に占める保険売上の割合も7年間で70%から56%に落ちました。

一方、自費収入は昨年比7%増加して売上の3割になりました。保険者の審査が厳しくなっていることから、自費施術に移行している治療院が多くなってきています。中には保険者から患者への施術内容の確認への対応や請求業務に時間がかかるため保険施術をやめてしまう院もでてきました。自賠責収入は昨年比7%増加しましたが、個別に見ると変動幅が大きく安定的な売上にはなっていない院が多いようです。

経費も減少、結果営業利益も減少、しかし個人事業は利益増

経費については、経費合計が平成27年957千円、平成28年949千円、平成29年894千円と3年連続で減少しました。経費率(経費計÷売上合計)はだいたい69%前後と変動がありませんでした。内訳で見ると、従業員給与、家賃、広告宣伝費とも3年連続で減少。売上の減少に伴い、これまでより従業員数を削減し、より家賃の安いところで営業していることがうかがえます。

広告宣伝費については、インターネット関連の広告を止めたり減額したりする院がありました。そんな中で研修費は増加しています。自費収入アップのために外部研修に参加される院が増えています。結果として営業利益は、平成29年は前年比12千円減少しました。営業利益率(営業利益÷売上合計)は31%前後で3年間変動はありませんでした。しかし個人事業だけで見ると平成29年は前年比で売上は8千円減少、経費は13千円減少、結果営業利益は5千円の増加で、2年連続で売上の減少以上に経費を絞って営業利益が増加しました。

自費収入は増加しており、この環境下で大健闘されました。一方法人は、前年比売上大幅減154千円、経費減113千円により利益減42千円でした。法人は売上額が個人事業より大きい分、保険売上の減少の影響が大きく出ました。

売上、営業利益上位20%の特徴

売上上位20%の平均値を見ます。平成29年は売上の大幅減少にともない経費を削減し営業利益は増加しました。月売上は前年比2,688千円から2,500千円に188千円(7%)減少。保険売上が大幅に減少したのが原因です。全件売上高に占める売上上位20%の割合は39%。前年は41%で微減。業界の売上上位2割で業界売上全体の4割を占めている状況は変わりません。経費総額は209千円減少。経費率(経費総額÷売上合計)は、74.0%から71.2%に改善し、営業利益は20千円増加(2.9%↑)しました。経費削減の大きな理由は人件費の削減でした。雇用者数を絞りしながら一人当たりの生産性を向上させることで利益を増加させています。経営努力の賜物でしょう。

次に営業利益上位20%の平均値を見ます。売上大幅減少、経費も減少、結果営業利益は減少しました。月売上は前年比2,264千円から2,152千円に112千円の減少。保険売上が前年比116千円減と大幅に減少しました。全件の営業利益合計に占める営業利益上位20%の方々の利益合計は43%。“業界の上位2割で業界全体の4割強の利益をたたき出している”状況は昨年と変わりません。経費は人件費の減少で経費総額は82千円減少。結果として営業利益は31千円減少しました。営業利益が年間で1千万円を超えた方がこの中で39%。全体では8%いらっしゃいました。

東京は“東京23区内、23区外”とも売上減少

最後に地域を東京23区内、東京23区外、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他の6つに分けたデータを見てみます。注目の “東京23区内”は、月平均売上が平成8年年1,362千円から平成29年1,244千円と前年比118千円(8.7%)の大幅減でした。保険売上、自費収入、いずれも減少。自賠責収入は微増。実績データからみると23区内は、自費収入に力を入れて平成25年、平成26年、平成27年と自費収入を増やしてきましたが平成28年29年とも前年割れ。競合他院も自費収入を増加させてきたため他院との競合が激しくなってきています。埼玉県、千葉県も東京と同様の結果でした。昨年売上を落とした神奈川県は保険売上の減少を自費収入と自賠責収入の増加でカバーし売上、利益とも増加しました。

研修費の増加傾向は続く

平成28年度よりも研修費は増加しました。保険売上の減少を補うためには保険外の施術で稼がなければなりません。自賠責収入は車の安全機能の向上、少子化等による交通事故の大幅減少により今後あまり期待が持てません。ならば自費収入をアップさせるしか選択肢はありません。一部の治療院では大幅に自費収入が増加するところもでてきました。新しい手技を習得するため今後も治療院の研修費は増加して行くことでしょう。

いかがでしたでしょうか。これからも厳しい競争は続く可能性が高いからこそ、経営の数字を読み解く力やマーケティングの観点は、院長先生には強く求められていく時代だと思います。

他にも各院の売上が上がった要因や、自費の売上が上がった要因なども取りまとめていますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。 

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